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*この記事は、2008年に書いたブログ記事の転載になります。
「十代のきみへ」からの続き
さて、そろそろ5分経ったね。答えは出たかい? それじゃ答えあわせをしようか。
“苦しみや悲しみに耐えられる人っていうのは、どうしてそんなに強くいられるのか?”
答えはね、その人がプライドを持っているからなんだよ。日本語でいうと自尊心。どんなことがあっても、自分を認めてあげて、自分を信じて、自分の信念を貫こうとする心意気だね。どうだい? 君の答えは合っていたかい? え?違った。そうかい。でもそれはそれでいいんだよ。
俺と君の答えが違っていたとしても、それはそれで全然構わないし、そのこと自体、さほど重要なことじゃないんだ。
大事なのはね、何事も誰かが言ったことをそのまま鵜呑みにするんじゃなくって、それをいったん受け止めたら自分で考えて、自分なりの答えを出すってことだよ。それにね、そもそも君が出した答えだって正解なんだよ。それじゃ、さっき言った俺の答えが不正解なのかっていうと、そうでもない。訳が分からないって? 要するにね、生きる上でこれだけが正解、こうじゃなきゃいけないなんてものは無いんだよ。人生の回答はね、正解がたくさんあるってことなんだ。
ここのところは大事だから、も少し掘り下げて言うよ。
まずは、世の中のいろんな考え方や情報をいったん自分に取り込んだら、それが正しいか正しくないか、自分に合っているか合ってないか、自分の進むべき道はどうあるべきかを感性をしっかり働かせて自分自身の力で考える。そのプロセスそのものがとても重要なんだってこと。特に十代のような感性が豊かな時期にはね。
それからね、
どの道が正解っていうものはないってこと。自分が選んだ道でその後何をするかによって未来は大きく変わるよ。そういった意味では、人生の選択肢は二者択一なんてもんじゃないし、それこそ無限の選択肢があるわけなんだ。人生はね、それこそ選択の連続だよ。だからこそ、どの道を選ぶかよりも自分が選んだ道をどのように歩いていくかってことの方がはるかに重要なんだ。
長い年月が経って自分が歩いてきた道を振り返ってみたときにね、自分で納得できれば、その道はきっと“正解”だったんだよ。君自身がそう思えればね。
ほら、今、俺、また大事なことを言ったよ。君自身が自分に“正解”だって納得させられるかどうかっていうのは、この記事の冒頭の部分のことを言ってるんだぜ。
「自信って、一体なんなんだろうな」
「自分の能力が評価される、自分の人柄が愛される、自分の立場が誇れる―そういうことだが、それより、何より、肝心なのは、自分で自分を“良し”と納得することかもしれない」
ね、その通りなんだよ。
今、ふと思ったんだけれど、まるで俺、人生の成功者みたいなエラそうなこといってるね。全然そんなことないんだけれどね。何を隠そう、いや、隠すまでも無く、俺も今、まさに自分の道を歩いている途中、君と同じさ。まだまだ自分に向かって“良し”なんて言えないし、自分の歩いてきた道が“正解だった”なんて思えない。だからずっと歩き続けるよ。プライドを持って、倒れるまでね。死ぬときに自分で自分を“良し”って思えたら、それは最高の人生なんじゃないか。そんなことを思いながらね。
ここまできて、俺のこと、なんだか熱いことを語るおっさんだなって思うかい? 嬉しいね。それは俺にとって最高の誉め言葉だよ。だって、熱いって君が思ってくれたってことは、君にその熱が伝わったってことだからね。ありがとうね。俺の想いを受け止めてくれて。
あのね、どうして俺がこんなことを言うかっていうとね。
君たち十代、いや十代に限らず、若い世代っていうのはね、俺らの世代の夢なの。いや、俺らだけじゃない、俺らの世代を含めた君たちの上の世代みんなの夢なんだ。
今はまだ世の中には理不尽なこととか、悲惨な出来事がはびこってるね。悪い奴らがのさばり、正義が行われず、愛とか善意っていう言葉がまるで世の中からすっぽり抜け落ちてしまったんじゃないかって感じるときもある。
でもね、そんな不完全な世の中も、そこにたどり着くまでには、俺らの上の世代の熱い想いと頑張りがあったんだぜ。歴史をみればわかるだろう。
だからさ、できれば気づいて欲しいな。実は君らが思ってるほど、君らの上の世代もサボっているわけじゃないってことにね。まともな神経があれば、子の幸せを願わない親なんていないよ。たいていの場合、表現が下手なだけさ。俺らだって、下の世代には幸せになってほしいし、10年後、50年後、100年後は今よりもっとステキな世の中になってほしいな。何がステキかっていうのは、人によるけどさ。
世の中は今も発展途上なんだよ。言い換えれば、人類は少しずつ進化してるってことだ。だからさ、君も諦めないでほしい。さっき言ったとおり、世の中はブルーハーツの歌の世界と同じなんだ。君が気づいていないだけで、愛も善意も優しさも結構ころがってるんだぜ。もし、見つからなかったら君自身が自分でそれをころがしてあげればいい。モノは考えようじゃないか。
あと、数十年、俺らの世代もいけるところまでいくよ。走れるだけ走る。
それから君らの世代にバトンを渡す。
それは、君ら世代に俺らの夢を託すってことなんだよ。俺らが上の世代からそうされたように。ずっとずっと俺らの前の世代の夢の分まで託すんだ。いつか俺らが走れなくなったその時は、よろしく頼むよ。
最後にひとつ、ドラマ「踊る大捜査線」に出てくるワクさんの名セリフを贈ろう。
「正しいことをしたければ偉くなれ」
GOOD LUCK!!
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